「この花の美しさ、ずっと残せたら…」
「生花をそのままレジンに閉じ込めて、アクセサリーにできないかな?」
春に咲く桜のように、今しか見られない花の姿を残しておきたい。
そんなふうに思ったことはありませんか?
桜のように繊細な花は「今しかないこの瞬間を残したい」と強く感じさせてくれる存在です。
私たちは公園や神社などで、桜が見事に満開になっている様子を見ると、ついスマホを向けて写真を撮ってしまいますよね。
この美しい瞬間を心に留めておきたいというのは、美しい花を見たほとんどの方が思うことだと思います。
桜吹雪で拾った花びらを、そのまま思い出とともにレジンに封入できれば確かに素敵ですよね。
確かにレジンを使えば、まるで花ごと時間を閉じ込めたような作品も夢ではありません。
けれど残念ながら、「生花をそのままレジンに封入する」ことには大きな落とし穴があるのです。
ではなぜ、生のお花はレジンアートにできないのでしょうか?
この記事では、その理由と実際に試してみた様子、そして代替案までを詳しく解説していきます。

40代、花屋勤め兼レジン作家。
幼少より花好きで25年以上花屋兼植木屋に勤める。
レジンの魅力と出会ってからは主にドライフラワーを使ったお花のレジン、ウッドレジンを使った作家活動を開始。
もっとハンドメイドを楽しむ方が増えればいいなと思いながらブログを綴る。詳しいプロフィールはこちらから。
生花はそのままレジンで固めることはできない!

まず結論を先にお伝えしますと、生のお花をそのままレジンに入れることはできません!
最近ハンドメイドで、レジンの中にキレイにお花が入った作品を見かけるようになりました。
そのために生花とレジンは一見相性が良さそうに見えます。
ですが実は、「レジンの中に閉じ込めれば花が保存できる」というのは、少し誤解を含んだイメージなのです。
表面的には固まっても、内部には生花には大きな問題が残ってしまいます。
では、なぜ生花とレジンは相性が悪いのでしょうか?
その理由を詳しく説明していきます。
なぜできない?生花とレジンの相性が悪い理由
生花は文字通り生きているので、植物内部に水分や空気を多く含んでいます。
UVレジンやエポキシレジンは硬化後に空気や湿気を遮断する性質がありますので、その植物内部に水分や空気が閉じ込められてしまうのです。
そのため、生花をレジンで包んだ場合、内部に残った水分や細菌がレジン内で逃げ場がなくなり、トラブルの原因となってしまうのです。
それは花だけでなく、葉も実の部分も同じことになります。
次第に変色・腐敗・気泡の発生といったトラブルを引き起こします。
気泡・腐敗・変色など生花をレジンに封入すると起きるトラブル
生花をそのままレジンに入れると、次のような現象が起こりえます。
- 花びらの中に残った空気が固まる最中に気泡になることがある。
- お花の内部の水分が腐敗し、レジンの中で花全体が黒ずんだり変色する。
- 固まる最中、植物内の水分とレジンと反応し、表面がベタついたりする。
これらのトラブルは、作品の見た目を大きく損なうだけでなく、時間の経過とともにさらに悪化していきます。
つまり、レジンの中に閉じ込めたからといって、生花の美しさを保てるわけではないということです。
実際にやってみた!桜を生花のままレジンで固めてみた結果

ここまでは「生花のままレジンで固めるのは難しい」とお伝えしてきました。
では実際にやってみたらどうなるのでしょうか?
実験的に「桜の生花」を封入してみた結果をご紹介いたします。
もし同じようなことを考えている方がいたら、この結果が参考になればと思います。
「もしかして意外にキレイに固まったりしないかな?」
という期待を込めて実験してみました。
その結果とあわせて、実際に起こった変化や気づいたことを正直にまとめます。
使用した材料と封入したレジンの種類

今回使用したのは、自宅の庭に鉢植えされている生の桜の花びら。
そしてエポキシレジン(2液性レジン)と紫外線で固まるUVレジンです。
なるべく早くレジンで固めるため、摘んですぐにモールドに入れて封入してみました。
UVレジンに生花を封入後の変化と経過観察

UVレジンで固めた直後は特に変化は無く「これ、意外にいけるのかも?」と思える見た目でした。
ですがUVライトで固めて、少しすると明らかに色が薄れてしまいました。
花びら内部にレジンが染みてしまったせいだと思われます。

4日経過して取り出して見ると、明らかに硬化不良の部分が見られました。
部分的にベタベタどころか固まってすらおらず、モールドにレジン液がくっついています。
追加でUVライトを当ててみましたが、うまく硬化しませんでした。
花びらの端の一部が茶色く変色していますので、そのまま置いていくと花びら全体が茶色く変色するでしょう。
エポキシレジン(2液性レジン)に生花を封入後の変化と経過観察

そしてエポキシレジンの方はさらに劇的に変化が起こりました。
モールド内に花びらを固定し、レジンを注ぎ込んで数分もしない間に色が変わってしまいました!
これは注ぎ込んだエポキシレジンと、花びら内部の水分が化学反応してしまったせいだと思われます。

すでにかなり面白い状態となりましたがそのまま4日放置。
変色の度合いは最初のレジンを注いだ時よりさらに強まり、花びら全体が縮んでしまっているのが確認できました。

こちらも取り出してみると表の面は硬化しているのですが、裏の面の花びらの周りはベタベタのままで硬化不良を起こしています。
やはり花びら内部の水分が悪さをして、エポキシレジンが固まりまれなかったようですね。
実際にやってみた結果、これはなかなかの「失敗作品」となってしまいました。
このように生花をレジンに入れるのは、難しいと言えるでしょう。

失敗も経験と思えば悪くありませんよね。
実際、私もあんなにすぐに変色するとは知りませんでした。
生花をレジンで残すなら「乾燥させる」ことが前提!

実際に桜を生のままレジンに封入してみた結果は、見事に失敗となりました!
ではどうすれば思い出とともに、その時の美しさを残しておけるのでしょうか?
お花を美しく保存するには、まずは花を「レジンと相性が良い状態」に整える必要があります。
その第一歩が「水分をしっかり抜く=乾燥」です。
生花をドライフラワーなどしっかりと乾燥させた状態にしてから封入することが、長く美しく保存するための第一歩となります。

生花をそのままレジンに入れるのではなく、一度ドライフラワーにすることが重要です。
そのための方法として自然乾燥や、シリカゲルを使った乾燥法が一般的です。
しっかりと乾燥させることで、レジンとの相性がぐっと良くなり、長期保存も可能になります。

しっかり乾燥させれば色落ちも少なくなりますよ!
じゃあ生花をUVレジンでコーティングするのはできるの?

生花をレジンに封入はダメだとわかったけれど、それなら表面だけUVレジンでコーティングすればいいのでは?
もしかしたら、そう考える方もいらっしゃるかもしれません。
見た目をキレイに保ちながら、花を補強できそうな気もしますよね。
たしかに、レジンで表面をコーティングすることで一時的にツヤを出したり、乾燥や劣化を多少抑えることはできるかもしれません。
ですが、やはりこの方法も「生花のまま」ではおすすめできません。
なぜなら根本的な原因は、花の内部にある水分がレジン接触するために起こるからです。
表面だけを覆っても時間とともに結局変色や劣化が進んでしまうのです。
封入と同様に、コーティングも「完全に乾燥した状態の花」に行うようにしましょう!
【まとめ】生花はレジン封入には非推奨、しかし美しさを残す方法はある。

「生花はレジンで固められない」
この現実に、がっかりした方もいるかもしれません。
ですが、正しい手順を踏めば、花の美しさや思い出を長く保つことは可能です。
レジンでの保存に必要なのは、しっかりとした乾燥と正しい知識です。
ちょっとした工夫で、あなたの大切な花が色あせない思い出として残せます。
もし、どうしても生花をそのまま使いたい場合は、フラワーアレンジメントや一輪挿しなどをお勧めします。
生のお花が綺麗に咲き、散りゆくまで見守るのも楽しみ方の一つと言えるでしょう。
もし長期間、思い出と共に保存しておきたいのならば、レジン封入による保存は魅力的な手段となります。
正しい知識と準備をもって、長く美しくお花を楽しんでいきましょう!

正しい使い方をすればレジンはとても美しく長期間、思い出と共にお花を保存してくれます!
それではまたっ
コメント